ショートストーリー 彼女がバイクに乗る理由

冬のドナタ？が行き詰りました
で
さっき風呂入ってて思いついたショートを・・・

「ケンジ～！早く出てこいよ！置いてくぞ！」
「今行くよ～ちょっと待っててよ～」

「んで今日はどこ行くの？」
「おせえよケンジ！麦草越えて清里辺りまで行ってみっか？」
「いいよ　お前に任せるよ　でもさ　だいじょぶか？お前のバイクで
　麦草って・・・プスプスになんね？」
「平気だよ！ったくよ～ケンジたまにはコース考えろよ」
「だってお前　俺がプラン立てるとなんじゃかんじゃいちゃもんつけて
　結局自分の行きたいとこ行くじゃん」
「うっせ～なぁ　行くぞ！」

幼稚園からの同級生
家も三軒となりで竹馬の友というか腐れ縁というか・・・
現在互いに若干二十歳
ちょっと子供から大人になり掛けてるさなぎ状態

「うわ～楽しかったなケンジ！」
「しかしお前は相変わらず早いな～コーナー攻めるのも根性あるし」
「練習してんもん　ケンジにだけは負けたくないし」

「なあケンジ部屋寄ってお茶飲んでかね？」
「あぁ・・・」
　
「コーヒーでいいだろ？」
「うん　でもさ何で一人暮らししてんだよ？実家からでも店通えるだろ？」
「親父がさうるせ～んだよ　未だに言うんだぜ理容師の免許も取れって」
「あれ？美容師と理容師って免許違うの？髪の毛切るの一緒じゃん？
　だってお前んちでパーマもかけれるじゃん？」
「アホか！話になんね～」
「そなの？でもさ俺が浪人してる間　お前は自分の目標に向け
　ちゃんと歩いてるよな」
「そうな　ケンジが二浪もするからこっちはお先に社会人だよ」
「バイクも上手くなっちゃったしな～　でもさお前よく免許取ってすぐ
　CBR400RRなんて買ったよな」
「だってカッコいいじゃん！ケンジんチでテレビで見た
　鈴鹿８耐のバイクみたいだったし」
「へ？そんだけでアレ買ったの？」
「んだよ　免許取ったばっかだもんバイクなんてなんも知らないし
　ケンジに相談したら好きなのにすれば？だったじゃん！」
「え？相談なんかされたっけ？」
「マジ？憶えてないの？ホントはさケンジと同じCB400SFに
　しようと思ったんだけど　好きにしろって言われたからアレにした」
「でもさ　スゲーな　乗りこなしてるもんな」
「だってアレしか知らないもん乗るっきゃないでしょ」

「あい　コーヒー」
「おい！何で隣座るんだよ！」
「だってあんたテレビの正面座ってんじゃん！何で家主が首曲げて
　テレビ見なきゃなんないんだよ」
「テレビついてないじゃん！　いいよ　したら俺どくから」
「待って・・・隣にいて・・・」
「え？」
「ケンジさ　あたしが何でバイクの免許取ったか知ってる？
　ずっと幼稚園も小学校も中学も高校もチャリで一緒に行ってて
　休みの日だってキヨシんち行くのも和江んち行くのも
　いつも一緒だったのに
　ケンジがバイク取ってから一緒じゃなくなっちゃったし
　後乗るか？なんて一度も言ってくんなかったし
　だからあたしもバイク取った・・・　ケンジと一緒に居たかったから
　でもそのうち２回も大学落ちてちっとも逢えなくなっちゃったけどね」
「え？・・・」
「だからケンジが大学諦めた時少しホッとした
　ケンジ東京に行っちゃうんじゃないかってずっと心配だったから」
「お前さぁ　人の不幸でホッとすんなよ」
「お前　お前って呼ぶなよ　ちゃんとアリサって言うカワイイ名前あるんだから」
「したらもっと女らしくしたらどうだよ」
「仕方ないじゃん！いつだってケンジの仲間と一緒で男の中に居たんだもん」
「大学失敗してさ　東京出れなくなってガッカリもしたけど
　ホッともしたんだぜ
　今の仕事さ何で選んだか知ってる？」
「アホだからあそこしか入れなかったんだろ？」
「あれっ！ちゃんと試験あったんだぜ！」
「酒屋でかよ？」
「酒屋じゃね～よっ！酒類量販店だよ！」
「酒屋じゃん」
「まぁいいよ酒屋で・・・あそこさ定休日お前と一緒なんだよ
　このまますれ違ってばっかじゃお前が離れて行っちゃいそうでさ」
「そんな理由で自分の人生決めんなよ！」
「そんな理由でも俺には大事な事だからな・・・
　アリサ・・・愛してる」

終